(注)応募時に無題だった作品は、作文コンテストのテーマである「私たちの絆」をタイトルとしています
私は2018年7月に第二子となる娘を、帝王切開で出産しました。
先生から「元気な女の子ですよ」と伝えられ、ホッとしました。お腹の傷も痛い為、中々娘に会えませんでしたが、数日してから抱っこする事が出来ました。
ある日、夫が抱っこしていると
「あれ、指が6本あるんだけど…数えてみて」と言われました。そんなウソでしょと思いながらも、恐る恐る数えてみると確かに左指の親指が2本ありました。
頭が真っ白になりながらも、すぐにネットで調べて「多指症」である事が分かりました。
私たちはすぐに信頼していた助産師さんに話しました。
助産師さんは「ごめんなさい、これは皆知っていました。帝王切開後にすぐにはお話出来なくて、退院の日に話そうと決めていました」との事でした。
後日母と夫は、主治医と話し合いをしていました。どうしてすぐに教えてくれなかったのかと、夫は話していたそうです。
手術をすれば治る、でも傷は残る。
1歳前後までは手術も出来ない為、その間はこの子の指は6本のまま。
もちろん最初はとても落ち込みました。でも指が6本ある以外は至って皆と同じだからきっと大丈夫、と思うようにしていました。
それなのに…娘が少し大きくなってから児童館に行く事が出来ませんでした。周りのママさんが見たらどう思うだろう、何て答えればいいだろうと気にしてしまっていました。
今振り返れば、周りの目を気にしていた事を娘に謝りたいです。病気の事は気にしないで、もっともっと児童館に連れて行ってあげれば良かったです。
そして、娘が10ヶ月の時に手術をする事が決まりました。まだ小さい娘。でも点滴をするのも奇跡的に泣かず、10日間の入院生活もとても頑張って乗り越えてくれました。
手術の日は、眠ったままの娘を看護師さんに渡さなければいけなくて、手術室に入っていく娘を送り出すのを今でも鮮明に覚えています。
手術時間は2時間程でしたが、その時間何をするにも夫とそわそわでした。手術から帰って来て、ぐるぐる巻きにされている腕を見ると、本当に良く頑張ったね。強いね。私たちのところに生まれて来てくれてありがとうの気持ちでいっぱいでした。
今でも娘の左の親指は少し変形していて、傷痕もある為、この先お友達や誰かに何か言われる時がくるかもしれない。
娘は指を見て「ここ、カ(蚊)にさんにさされちゃったー」と言っています。まだ2歳の娘には手術した事をきちんと理解は出来てません。
でもこの傷痕は、頑張った証。胸をはっていいんだよって事を伝えたいです。
また入院した病院にはたくさんの病気の子供達がいました。この子が多指症でなければ、出会う事もなかった病気の子供たち。
今まで知らない世界を見せてくれた娘に感謝しています。そして病気や障害がある方々にとって、偏見や差別がない世界になる事を心から願っています。