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「大丈夫の魔法」 木島 里絵

「大丈夫」は私の口癖だ
娘「おとめ」がでっかい心臓病を抱えて生まれてきたときも、呼吸器に繋がれたときも、20分以上心臓停止を起こしたときも、気管切開になったときも、胃ろうを造設することになったときも、救急車が到着するまで蘇生器を押し続けたときも、白血病がわかったときも、抗がん剤の副作用でボロボロになったときもおとめに「大丈夫」と言い聞かせてきた。

本当は私が一番不安でたまらないのよ。「大丈夫」は私自身に言い聞かせる言葉でもある。おとめは生まれてからこれまで何度も命の危機やトラブルがあった。何百回いや、何千回いや何万回かもしれない「大丈夫」を暗示のように聞かされ続けおとめは14歳にまで成長した。

何度も言い続けてきた私の「大丈夫」には何か魔法的なちからがあるのかもしれない。もしタイムマシンがあるのなら一番不安だった頃の自分のところへ行って「大丈夫おとめは生きるよ」と言って安心させてあげたい。それからチラリと現在の超生意気なおとめと私の贅肉を見せて「娘も自分も甘やかすな」と注意してあげたい

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