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「私を変えてくれた出会い〜みんなのえがおのために〜」 アンダンテ

私は、保育士になるために勉強中の大学2年生です。将来は、医療的ケアを必要とする子どもたちや、障害のある子どもたちを笑顔にする仕事がしたいと思っています。今日は、私が今の目標を持つに至った出会いをご紹介したいと思います。

高校1年生の夏、行きたかった夏休みの保育ボランティアに出遅れ、申し込みの期限が過ぎてしまったことに気が付いた私は、急いで市のボランティアセンターに電話しました。
「まだどこか空きはないですか?」と。そこでセンターの担当者の方は「保育園は埋まってしまったけど、障害児療育のボランティアならまだ受け付けているよ」
と教えてくれました。

実はそのボランティアの存在はそれまでも知っていました。でも、正直怖くて避けていた自分がいたのです。それまで障害のある子どもの療育なんて考えたこともなく、自分にできるのかとすごく不安になりました。
ただ、夏休みにどこでもいいからボランティアに行きたい、という気持ちの方が勝ち、その場で「行きます」とお返事をしました。

そして当日、朝から夕方まで療育のお手伝いをしました。お散歩に行ったりプールで遊んだり、お弁当を食べたりして一緒に過ごしました。その日は自閉スペクトラム症やダウン症、難聴のある子どもさんが十数人来ていました。そこで私が感じたことはただ一つ。「みんなかわいい」ということでした。

怖がることなんて何もありませんでした。確かに途中で部屋を飛び出してしまったり、プールの中で泣きだしてしまったり、大変なことはたくさんありました。でも、とにかく子どもたちがかわいかったのです。

そして何度かその療育に通ううちに、お母さんたちからいろいろな相談を聞くようになりました。「通える保育園がなかった」「兄弟にかまってあげられる時間がない」など聞いているうちに、こんなにかわいい子どもたちがどうして社会で明るく生きていけないのだろう。どうして家族が苦しまなくてはいけないのだろうと考えるようになりました。

そして私は自分なりに障害児の保育や福祉の制度について調べました。その中で障害児のための様々な施設やサービスがあること、そこで働いている保育士がいるということを知ったのです。

以上が、私が今の目標を持つに至った出会いです。障害があっても、病気があっても子どもたちはみんなかわいい。そして今という時間を一生懸命生きているということを教えてくれたのは、他でもない、その子どもたち自身でした。

言葉は話せなくても、「今、楽しいよ」「お姉ちゃんのこと大好きだよ」と全身で表現してくれているように感じました。そんな子どもたちを見ていると、この子どもたちともっと長い時間、一緒に笑っていたいと思いました。

この出会いから私は、高校生活の中で障害児を含め子どもに関するボランティアには片っ端から参加しました。行った先で、「次はここに行ってみない?」「うちにも来てくれない?」と誘っていただき、たくさんの子どもたちや保護者の方、職員の方と出会う機会をいただきました。

その方々とは今も交流があり、時々会いに行っています。会うたびに成長する子どもたち、変化する福祉・医療制度の実情に触れるたびに驚くことがたくさんあり、いつも学ばせていただいています。

あの日、ボランティアセンターに電話していなかったら、療育のボランティアに行かなかったら、この出会いはありませんでした。ボランティアを紹介してくれたセンターの方、療育でお世話になっている先生や保護者の方、そして何より私と出会い、大切なことを教えてくれた子どもたちに、本当に感謝しています。

今、私は大学生として子どもや福祉に関することを勉強しています。目標のために、子どものことや社会福祉のことを知るのはとても楽しいです。しかし、その中でまだまだできることはあると感じます。

私は、まだ結婚も出産もしていません。障害児を育てたことがあるわけでもありません。だから本当の大変さや辛さを分かることは難しいと思っています。でも、お母さん方のお話を聞く中で、もっと子どもたちや家族のために社会は変われると感じています。楽しいときに「楽しいよ」、悲しいときには「悲しいよ」と表現できる社会になってほしいと思います。

私に大切なことを教えてくれた子どもたちに、いつか恩返しができるように、今できることを精一杯がんばります。みんなのえがおのために。

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