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「またおでかけできる日を願って」 さくら

「じゃあまた来月おでかけ行けたらいいね」

これは3月の初めに私がYさんと交わした会話です。Yさんは重度の身体障害があり、施設に入所されています。
常に身の回りの介助が必要で、私はこれまで毎月1回外出支援ボランティアとしてYさんとショッピングセンターで買い物や食事を楽しんできました。

Yさんには私が施設でアルバイトをしていたときにスカウトされて外出支援ボランティアをすることになりました。

外出の場所はいつも決まったショッピングセンターで、施設から2人で介護タクシーを使って出かけます。
到着するとお気に入りのカフェでコーヒーを飲んでから買い物を始めます。

Yさんは60歳を超えていますが趣向は若く、いつもカラフルな洋服や小物を選びます。
たまに私が買う服にもアドバイスをくれたりして、ボランティアというよりは友達と買い物をしている感覚です。
お昼はフードコートで食べたり、お惣菜を買ったり、ジャンクフードにしたり…いつもは施設で食べられないものを食べるので、とても楽しそうに食べられています。

3月に最後に外出をする時はコロナウウイルスの影響がすぐそこまで来ており、ギリギリの状態でしたがなんとか外出することができました。
その後、緊急事態宣言が出されて私たちの住む地域でも外出が制限されてしまいました。

それから半年が経ち、私の周りでは徐々に外出制限も緩んできたような感覚はありますが、Yさんのいる施設ではいまだに家族以外の面会は禁止となっています。
幸いなことにYさんはMyパソコンを持っているので私とメールのやりとりをすることはできています。やはり人と会えないこと、外出できないことがストレスらしく、Yさんにしては珍しく弱音が書かれているメールをよく受け取ります。

今回のこの経験から月1回の外出がどれほどYさんにとって大事だったかがよく分かりました。
買い物をすることはもちろん、外の世界との関わりを持つことで心の健康を保つことにつながっているのだと思います。
私達が数週間外出を制限されただけで気が狂いそうになったのに、元々月1回だった外出が0になるというのがどれほど辛いかは容易に想像できます。

それと同時にボランティアという立場の不安定さを痛感しました。
ご両親が高齢となった現在、Yさんはボランティアがいなくては外出することができません。
しかし今回のような状況ではボランティアは家族や介護職員と同等には扱われず、面会しに行くこともできません。感染を防ぐためにはこのような措置が必要であることはよく分かっていますが、何もできない歯痒さを感じました。

今私にできることはYさんとのメールのやりとりくらいしかありません。
私とのメールの中で少しでも明るい気分になってもらえたらと思い、ネタを探す日々です。
そしてまた「おでかけ」ができる日を楽しみにしています。

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