当事者部門

「出逢いと絆ー娘の育児で気づかされた事ー」 岡田 恵美

私には難病指定の遺伝子疾患で胃ろうからの栄養剤注入が必要な娘「逢希(あいき)」がいます。

逢希の名前は「この子に沢山の良い出逢いがありますように。」「希望に満ちた人生を送れますように。」という願いを込めて名付けました。

娘は体に複数の疾患や軽度知的障害などがあり医療的ケアが必要ですが、歩いたりお喋りができる活発な女の子です。

胎児発育遅延で37週に緊急帝王切開で産まれた娘は、生後すぐからの哺乳不良で体重が増えず1日中授乳のために家の中にいました。昼夜問わず1時間に1回の授乳はとても辛く、泣きながら育児をしていました。

生後4ヵ月の時に体重増加不良や甲状腺の数値が低いため経鼻チューブを入れました。今までただひたすら授乳していた生活から経鼻チューブでミルクを注入できるようになり、私の中で「逢希は注入で栄養が取れるから生きていけるんだ。」という考えが生まれました。

「もっと逢希と外へ行きたい。」「逢希に色々な経験をさせてあげたい。」と思い親子療育やリハビリに通い始めました。
初めは娘が楽しめる場所になればと思い通っていましたが、いつの間にか福祉の事を何も知らない私に制度や就園・就学の相談に乗ってくれる先生や、一緒に喜んだり悩んだりしてくれるお友だち、私の気持ちが休める場所ができました。

その時、私は初めて「娘の育児をしていなければ、今娘に関わってくれている方々には絶対に出逢えてなかったんだろうな。」「私たち家族を支えてくれる人がいなければ、今娘はこんなに笑顔で毎日を過ごせていないんだろうな。」と思うようになりました。

今年小学校へ入学した娘は、新型コロナウイルスに感染すると重症化するリスクが高いため、今は病弱学級で担任の先生とほぼ一対一で授業を受けています。

医療的ケアが必要な娘を地域の小学校へ入学させたい。と思った時、何度も教育委員会の方や学校の先生方と娘が入学するにあたって必要な事や、気をつけなければならない事を話し合いました。
医療的ケア児を初めて受け入れるという事で誰もが手探り状態の中「逢希ちゃんは逢希のペースで。まずは元気に毎日登校できるように。」と動いてくださいました。

毎朝、笑顔で娘を受け入れてくださる学校の先生方、お昼に栄養剤注入に来てくださる看護師さんなど、娘は私に沢山の方々に出逢わせてくれます。

前述の通り「この子に沢山の良い出逢いがありますように。」と名付けた逢希という名前ですが、私が逢希から沢山の方との出逢いをもらっていると気付きました。

娘を育てていなければ、こんなに沢山の方に出逢って色々な経験をする事はなかったと思います。
出産してすぐは母乳も哺乳瓶も飲めず経鼻チューブを入れ、現在は経口摂取と胃ろうからの栄養剤注入で生活している娘ですが、周りの方々に支えられて活発で沢山の方に愛されている娘を見ていると、私も人との出逢いや絆を大切にしていこうと思います。

これからも出逢った方々と逢希の成長を楽しみに見守っていこうと思います。

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