当事者部門

「私たちの絆」 三浦 亜希子

(注)応募時に無題だった作品は、作文コンテストのテーマである「私たちの絆」をタイトルとしています

みーちゃんが生まれた日、ママは世界で一番不幸なママだと思いました。病院の中は赤ちゃんの泣き声が響き、にぎやかな「おめでとう」「かわいいー」の声がする。でも、ママは病室に一人。みーちゃんに会えないのに、手術後の痛みに耐える日々はただただ寂しく、とてつもなく空虚な時間に感じられました。

まもなくして、みーちゃんが低酸素性虚血脳症という病気で、脳のほとんどの機能が失われてしまったことを知りました。生涯寝たきりで、言葉も話せない。お医者さんはそう言うけれど、ママは何となく分かったような、やっぱり分からないような。受け入れたような、信じたくないような…。未来が全く想像できなくて、とにかく不安だったことを覚えています。

でも、確かに生きてるみーちゃんはとってもかわいくて、愛おしい。だから、少しでもみーちゃんのことを知りたくて、図書館に通っては、「脳」や「医療的ケア」について勉強することから始めたのです。

その後、二回の心肺停止と二回の手術(胃ろう造設・喉頭気管分離)、数え切れないくらいの肺炎と気管支炎と感染症を乗り越えて、みーちゃんはなんと六歳になりました。文字にするととっても短いけれど、それはそれは壮絶すぎる日々で、何度、死を覚悟したか分かりません。でもね、神様って本当にいるのかも。みーちゃんのがんばりと、最善の治療と、奇跡の連続で、今の穏やかな暮らしがあるとママは思っています。

みーちゃんには秘密だけれど、みーちゃんが退院する日、パパと妹のなのちゃんとママは、「みーちゃんをみんなで守るぞ、えいえいおー!」と円陣を組んでいます。円陣をくんだ数だけ、家族の絆が深まって、ママの家族への愛情も倍増。みーちゃんとの暮らしがまたはじまることに感謝し、ちょっぴり気合いを入れるのです。

ママはみーちゃんと過ごす中で、当たり前なことは一つもないことを知りました。元気に生まれてくることも、毎日家族が一緒にいられることも、今日こうして生きていることも。一見、当たり前のように見えることが当たり前ではないことを知り、ママは日常の中に幸せを見つけることが上手になりました。

お医者さんや看護師さん、ヘルパーさん…。多くの人が、みーちゃんの命と、私たちの暮らしを守ってくださっています。これも、当たり前のことじゃない。毎日、超超リスペクト!そして、感謝×100。慢性的寝不足で心が折れそうになることもけれど、日常的に医療従事者や介護従事者のみなさんとかかわっていると、日本って捨てたもんじゃない!と思え、前向きな気持ちに切り替えることができています。

ママの朝は、手のひらでみーちゃんの呼吸を感じ、抱きしめることで体調を確認することからスタート。今日も生きていてくれて、ありがとう。さぁて、吸引をして、オムツをかえて、また一日を始めよう。

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