当事者部門

「私たちの絆」 由美

(注)応募時に無題だった作品は、作文コンテストのテーマである「私たちの絆」をタイトルとしています

「先天性横隔膜ヘルニアの疑いがあります。」そう告げられたのは妊娠14週のことでした。

「どうして自分のこどもが・・・」と泣きながら家に帰りました。悩み、苦しみ、一緒に生きていこうと決めてからも、「どうして私なんだろう・・」という気持ちは消えませんでした。

そんな私のもとに頑張って生まれてきてくれた晴貴。出産後すぐに呼吸器につながれ、生後2日目に手術を受けました。抱っこができること、泣いてくれること、おっぱいを飲んでくれること・・・それが当たり前ではないということを教えてくれた晴貴。
頑張ってたくさんの山を乗り越えてくれました。嬉しいことも悲しいこともたくさんありました。

成長を喜びながらも、おっぱいが飲めなかったりなかなか退院できなかったり、その度に弱い私は落ち込みました。
退院出来てからも、在宅酸素と経管栄養、搾乳で余裕がなく、わが子のそばにいれる幸せをかみしめつつ、この生活がいつまで続くのか先がみえない不安に押しつぶされそうでした。

そんな時、同じ病院に入院していた同じ病気をもつお子さんのお母さんからお手紙をいただきました。
「ずっとお話したかった。良かったら色々お話しませんか?」
というものでした。

本当に嬉しく、その日からメールでやりとりが始まりました。今の悩みや、診断された時のこと、入院中辛かったこと、話は尽きることがなく、共感できる気持ちがたくさんありました。

子どもたちが成長し、少し余裕ができるにつれ、他にもこうしてつながりたい方はたくさんおられるのではないかと考え、先天性横隔膜ヘルニア患者・家族会をたちあげたいと思うようになりました。

そして、2020年5月にInstagramで呼びかけて集まった7人のお母さんたちと話し合いながら、「こんな時にお役にたてたらいいな、こんな情報をお伝えできたらいいな」などとみんなで考え、少しずつ家族会が始動し始めました。

病気の重症度や必要な医療的ケアは違っても、同じ病気の子どもを育てている方がどのような想いで過ごしているかを知り、色々な痛みや悲しい気持ちをわかっているが故の温かさにふれ、いつの間にか「どうして私なんだろう・・」という気持ちは消えていました。

ちょうどコロナウイルス感染拡大の時期と重なり、実際に皆で会うことはまだ叶っていませんが、オンラインミーティングやLINEでのやりとりを通して、7人は強い絆で結ばれています。
この絆のおかげで、狭い世界しかみえていなかった私も、広い視野で前向きに物事を考えられるようになってきました。

この素敵な絆は、晴貴から私へのプレゼントだと思っています。

晴貴もおかげさまでもうすぐ2歳半になります。
これからも色々なことがあると思いますが、きっとたくさんの絆を結んでいくことができるのではないかとワクワクしています。

晴貴、お母さんのところに生まれてきてくれて本当にありがとう。

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