当事者部門

「コロナを通して感じたあなたとの絆」 A

私の姉は、アイカルディ症候群という重い病気を抱えて高校3年生になりました。アイカルディ症候群は、指定難病にも登録されており、日本での患者数は100人未満とされています。
私の姉は、肢体不自由で喋ったり、口から食事をしたりすることもできません。そんな姉から教えてもらったことは、今のコロナ時代を通してだからこそ実感できたことだと思います。

まず1つ目に、今まで姉が感じていた、ずっと室内にいて外に遊びに行けない辛さを自分も理解できたことです。コロナの影響で緊急事態宣言が出され、学校や外に出かけられなくなりました。

家で過ごす時間が格段に増え、長期間外に出られないのは端的に言うと、私にとって暇で仕方ありませんでした。これまでずっと姉もこのような思いをしていたと考えると、外に自由に遊びに行けていた自分は特別で、感謝しなければならないと感じました。

今、幼少期に母と出かけていたことを振り返ると、いつも母に「お姉ちゃんが預け先の病院から帰ってくるから、早く家に帰らないといけないよ」と言われていたのが思い出されます。「なんでこんなに早く帰らなきゃいけないの」、「まだ遊んでいたいのに」と幼少期の私は、姉に「遊びの時間を制限されている」と考えていたのでしょう。

今考えると、稚拙な考えで呆れるほどです。しかし、小学校に上がってからもやはり、友達と遊ぶにしても私はみんなより早くに帰らなければならなかったので、見送られることが多く、寂しい想いをすることや、我慢をすることは少なくありませんでした。

それでも小学校に上がってからは、「お姉ちゃんは自由に遊べていないのだから我儘を言ってはいけない」と少しずつ自覚していきました。そして今、コロナを通して自分も同じような環境に置かれて、姉の気持ちを深く理解することができました。

 私が姉に教えてもらったことの2つ目は、姉との「会話」についてです。私の姉は、実際に言葉を発しての会話の意思疎通はできません。しかし、例えば「ピンクと黄色、どっちのヘアゴムがいい?」と聞くと姉はピンクの方で目をパチパチとして好きな方を私たち家族に教えてくれます。そんな風に、自分の意思を私たちに伝えようとしてくれていると気が付いたのは、最近でした。

そしてコロナで家にいることが増えてからは、姉との「会話」の機会が増えました。そこで初めて知った姉の好き嫌いもあります。何色が好きなのか、どんな音楽が好みなのか、何をされたら嫌なのか。

また、姉が通っている養護学校の先生から、「まゆさん(姉)、あやちゃん(私)の話をするといつも目をパチパチさせて、にっこり嬉しそうにしているのよ。」というのを聞いて、「私を大切に思っていてくれて、それを学校の先生にも伝えようとしてくれている」と、はっきりと意思疎通ができること、姉に愛されていることを実感し、とても嬉しく思いました。

 このように、コロナの影響を受けたことで、姉への理解を深めたり、新しく気づいたりすることが沢山ありました。そしてこれからも難病を持つ姉とのコミュニケーションや姉の意思などを重点において、姉と私の特別な姉妹の絆を生涯大切にしていきたいと思います。

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